国民健康保険組合の加入による削減
市区町村の運営する国民健康保険以外に、医師、歯科医師、建設等の同種の業種、又は事務所に従事する者を組合員とする国民健康保険組合(国保組合)があります。
ただし、国民健康保険組合は加入資格が限定されますので、万人が加入できるわけではありません。例えば、資格別定額保険料の東京食品販売健康保険組合の加入資格は、食品業に従事し、店舗が東京都内にある個人事業主様と従業員様及びその家族の方に限定されていて、業種が異なる事業主は加入できません。
所得と関係なく保険料が定額の国保組合や、また加入者が若いなどの理由で、市区町村運営の国民健康保険より保険料の安い国保組合もあるようです。
例えば、加入資格を「日本国内に住所を有し、文芸、美術及び著作活動に従事し、かつ、組合加盟の各団体の会員である者とその家族」に加入資格を限定している文芸美術国民健康保険組合の平成22年度の保険料は、組合員一人月額14,300円(医療分12,300円 後期高齢者支援金分2,000円)、家族一人月額6,300円(医療分4,500円 後期高齢者支援金分2,000円)、介護保険料(満40歳から64歳までの被保険者)一人月額2,400円で、加入者の収入の多い少ないにかかわらず均等です。
東京の飲食業の方でしたら、「食品業に従事し、店舗が東京都内にある個人事業主様と従業員様及びその家族の方」で「東京都(島しょを除く)・神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県・山梨県および静岡県」に住んでいる方を対象にする東京食品販売健康保険組合があります。この国保組合も、加入者の収入の多い少ないにかかわらず定額なので、所得の高い方は検討してみると良いかもしれません。
このように、市区町村の運営する国民健康保険よりもメリットがあるため、2010年には、「全国建設工事業国民健康保険組合」で、実際には建設関係の職についていない元公務員、元教師などの無資格加入者が大量加入している事実(報道によると組合員の15%が無資格加入との事)が発覚し、問題になりました。報道によると、建設業とは関係のない民間会社や役所などを定年退職後、自治体の国保に加入することを回避するために、職業を偽って保険料の安い全国建設工事業国民健康保険組合に、偽装加入していたようです。
また、加入資格のない株式会社等の法人が、社会保険の事業主負担を逃れるために、個人事業書と偽ったり、会社を個人事業所に分割して申請したりして、不正に加入していたようです。国から補助金を得るために組合員数を増やしたい国保組合と、国民健康保険料や、社会保険の事業主負担を減らしたい偽装加入者との、双方の利益が一致したため、このような不正加入が横行していたようです。
なお、国保組合は、現在全国で165の国保組合が設立されていますので、保険料が高いと感じている方は、全国国民健康保険組合協会等のサイトで調べてみることをお勧めします。
また、ネットで「国保 削減 会社設立」などで検索すると、個人事業主が会社を別途設立し、会社で最低限の社会保険に加入するという手法がヒットします。確かに、役員報酬額を低額に抑え、会社で社会保険に加入すれば、会社負担分を考慮しても、国民健康保険料と国民年金の支払が削減できます。
ただこの手法は、個人事業主での確定申告にプラスして、会社の決算申告が必要になり、事務コストが大幅に増えます。その上、個人事業を廃業しない法人成りは、税務上のリスクに細心の注意をはらう必要があります。
